お役立ち情報
過払い金について和解をする場合の相場
1 過払い金についての基礎知識
⑴ 過払い金とは
過払い金とは、文字通り、消費者金融などに“払い過ぎたお金”です。
消費者金融でお金を借りると、利息をつけて返さなければいけません。
現在は利息制限法により、法律で利息の上限が決まっていますが、かつては、利息制限法による規制がなく、この法律に反しなければ、30%といった今では違法になる利息を取ることも可能でした。
そして、2007年頃に裁判例が固まってくると、利息制限法の利率を超えた利息は払い過ぎたものだとして、過払い金として請求できるようになりました。
過払い金返還請求は、法律上は、不当利得返還請求という手続きにより行います。
⑵ 過払い元金と過払い利息
過払い金の請求は、大きく分けて元金と利息に分かれます。
元金は、利息制限法の上限を超えて払い過ぎたお金そのものです。
過払い元金は、年間3〜5%といった利息をつけて返還するよう請求できるため、払い過ぎたお金に+αで請求できます。
これが過払い利息です。
⑶ 過払い金と時効
過払い金には10年の時効があり、払い過ぎがあったとしても、過払い金が消滅して受け取れなくなることがあります。
この10年は、原則は返済を支払ったときから10年が原則です。
例外として、同じ会社から借金を借りて返済をしてを繰り返している間は、最後に返済をしたときから10年間は時効にならずに過払い金を請求できます。
(借りて返済して・・・を繰り返していることを、「一連一体の取引」といいます。)
しかし、一度、借金を支払ってから次に返済するまでの期間が数ヶ月〜数年間開いてしまうと、そこで時効になってしまい、それ以前の過払い金が請求できなくなる場合があります。
(返済が途切れて「一連一体の取引」が終わってしまうことを、「取引の分断」といいます。)
2 過払い金の和解の相場
過払い金の交渉には、様々な法律問題が絡んで複雑なため、具体例を見ながら紹介します。
事例)
貸金業者に30年にわたって返済をしており、去年借金を全部支払終わった。
過払い金の広告が気になり、弁護士に相談したところ、「過払金があるかもしれない」と言われ、調査を依頼したところ、1500万円の過払い金の可能性があると言われた。
ただし、一度、平成8年に一度、まとめて70万円を返して借金を0円にしていたため、それより前の過払い金が「取引の分断」により時効になっているかもしれないらしい。
「取引の分断」があると、過払金は850万円にまで減ってしまう。
このケースは30年間の取引全体が「一連一体の取引」となれば、過払い金は1500万円(元金、利息)になります。
しかし、平成8年頃に「取引の分断」があるとなると、過払い金は850万円(元金、利息)になります。
このケースでは、消費者金融からは最初400万円の提案がありました。
しかし、弁護士が交渉をした結果、次第に上がっていき750万円まで上がり、これ以上を目指す場合は裁判を起こす必要になりました。
このケースで裁判を起こすメリットとデメリットは次のようになります。
- メリット
-
850万円回収できる
(1500万円の勝訴見込みはかなり低い案件でした)
- デメリット
-
時間がかかる(半年〜1年程度)
経費がかかる(数万円程度)
敗訴すると750万円以下になる可能性がある
このケースでは、勝訴見込みが高くはないため、1年という時間と100万円の増額可能性を天秤にかけることになります。
この件は、ご本人が高齢であったことや、敗訴して過払金が0円になるリスクもあったため、750万円の和解で終了しました。
3 過払い金の和解で考えること
以上のケースからわかるように、過払い金の和解をする場合は次のようなことを考えて決めていきます。
・裁判をしたときの増える見込み(勝訴見込み)
・裁判をしたときに減る見込み(敗訴見込み)
・裁判にかかる時間
・裁判にかかる経費
特に裁判の見通しは過払い金に詳しい弁護士でないとわからないため、まずは弁護士に相談をすると良いでしょう。
過払い金について裁判をした場合にかかる期間 鎌倉にお住まいで過払い金返還請求をお考えの方へ