Q&A
和解した後でも過払い金を請求できますか?
1 和解後でも過払い金を請求ができる場合があります
滞納などを理由として、過去に貸金業者と和解してしまっている場合でも、過払金請求が認められる場合があります。
裁判例では、事案の内容ごとに結論も分かれているため、しっかりと対応していく必要があります。
2 和解をしたと言えるのか
貸金業者側の主張は、「過去に和解したことにより、過払い金の請求も含め、もう争うことはできなくなっている」というものです。
しかし、そもそも、過去の合意については、和解かどうかから争うべきところです。
民法で言うところの和解というのは、「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約すること」をいいます(民法695条1項)。
過去に滞納などをした際、「過払い金があるのでその分債務を減らしておきます」等といって合意をしたでしょうか?
むしろ、そのときの債務をそのまま全額債務として認めさせられたりしなかったでしょうか?
細かい問題はありますが、債務者側の「譲歩」が認められなければ、その合意は民法上の和解にはあたりません。
3 和解の無効(取消)
債務の減額があること等により、過去の合意が民法上の和解にあたると判断されたとしても、過去の和解の有効性に関して争うことができる場合があります。
和解は、簡単に言えば、不明瞭、不明確なところ等があったとしても、双方譲り合って話し合いで解決する、という性質のものであることから、基本的に和解をした後にその有効性を争うことは簡単ではありません。
もっとも、そもそもの前提となる事実に関しては、合意の範疇になかったといえますので、過払い金の返還請求を妨げないと考えられます。
4 過去の合意が争われる場合は弁護士にご相談ください
過去に返済に関する合意等を行っている場合、貸金業者側は過去の合意は民法上の和解であり、和解の効力によって過払い金の返還請求は認められない、との主張を曲げない場合が多いです。
そうすると、過去の合意が和解にあたらない、ないし無効であることを前提とした過払い金の返還請求は、訴訟によることになりますし、多くの事案では貸金業者側にも弁護士が選任されて、過払い金返還請求の有効性が争われます。
和解後の過払い金返還請求については、弁護士に相談することをおすすめします。
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